miyoshi143-L
6/32

鉄道の優位性は、大量輸送、長距離輸送にあります。イベントを通して大口の観光利用を積極的に仕掛けていく方法もあり、三江線に乗ること自体を目的に全国から愛好家が訪れるなど、何とか、減少する一途の利用者数の下げ止まりを期待したいです。三江線は平成25年8月に発生した豪雨災害で一部区間が不通となり、復旧に10億円以上が投じられ運転が再開されました。せっかくの資産ですので、多くの市民が状況を直視し、力を結集する必要があります。猶予はありません。江の川鉄道応援団*の会員として、沿線の観光資源とあわせて利用者を増やす取り組みを行う鈴木さん。「三江線の車窓から眺める四季折々の景色をぜひ楽しんでほしい。駅を降りたった観光客に気軽に温かい声をかける等、コミュニケーションをとることも大切だと思う。人と人との交流を深めることが、ローカル線の魅力を引き出すカギを握っている」と力強く語ってくれました。鈴すず木き 仁ひとしさん(島根県邑智郡邑南町在住・59歳)*江の川鉄道応援団とは、三江線の利用促進を図るため、島根県邑南町の有志で設立された応援団です。※「江の川鉄道」とは、三江線の愛称名*バスによる増便の社会実験…鉄道・増便バス全体の利用は対前年同期の約2割増という結果でした。おもてなしの心も大切な行動の一つです ―沿線地域だけでなく、全体での取り組みを三江線は三次市と江津市を結ぶ延長108・1㎞の長大な路線です。まずは沿線にある6自治体や広島・島根両県が結束して、問題と向き合わなければいけません。平成22年度に設立された「三江線活性化協議会」には、6自治体はもとより、JRも参画しています。同協議会では、三江線の1日平均の乗車人数が平成4 年の1,409人に対し、平成21 年には324人と4分の1に減っている現状を受け、三江線を「生活鉄道」「ふるさと鉄道」「観光鉄道」と位置付けて、活性化のための向こう5年間の事業計画をまとめ、実行しています。その最終年度が今年度です。その検証も終えぬまま、JRから廃止表明とも取られる申し入れがなされたことは水を差すものです。ただ、JRも沿線住民のニーズに応える形で、バスによる増便の社会実験*を平成24年10月から3カ月間行っており、JRと沿線自治体が対立する構図ではなく、地域住民などを巻き込んで、地域のあり方を描くプロセスが必要です。平成25年5月、川本町で「三江線利用促進・活性化フォーラムin川本」が開催されました。参加者のアンケート結果を見ると、「危機感」の薄さの指摘や「本気」の取り組みが必要との意見が挙がっています。私自身も三江線に何度か乗っていますが、実際に利用者は少なく、三江線とスクールバスが一部競合している実態もあります。加藤 博和さん米子工業高等専門学校 准教授加か藤とう 博ひろかず和 さんProfile昭和50年、三次市で生まれる。平成23年4月から現職。専門は交通論、地域政策。著書に「備北交通(広島県北)を考える」など。三次市地域公共交通会議委員、安芸高田市公共交通協議会委員などを務める。Interviewインタビュー広報みよし 2016.2月号6

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 6

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です