広報神石高原1月号
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    「教養のまち-神石高原町」 読書の集い2018―平成30年度神石高原町読書感想文コンクール表彰式・読書の集い― 開催読書感想文コンクール受賞作品紹介【小学生の部】最優秀賞:酒肆 大輝(神石小5年)優 秀 賞:広瀬 まゆ(三和小3年)  〃  :小塩 優花(神石小4年)  〃  :藤原 光城(豊松小6年)【中学生の部】最優秀賞:古城 真緒(三和中2年)優 秀 賞:川上誉士幸(三和中1年)  〃  :門田 滉平(三和中3年) 図書館で本を選んでいると,「十歳のきみへ〜九十五歳のわたしから」というタイトルが目に入った。 僕も,丁度,十歳だったので,読んでみようと手に取った。この本を書いた九十五歳の医師・日野原重明は,十歳の僕たちに,「生きる」という事について語っている。 僕は,筆者の表現の仕方が好きだ。筆者は,「生きる」という事を,「寿命という大きなからっぽのうつわのなかに,せいいっぱい生きた一瞬一瞬をつめこんでいく」と表現している。この表現を,僕が気に入ったのは,前向きで明るい印象がするなと感じたからだ。僕の想像していた「生きる」とは,「手持ち時間をけずっていく」という少し悲しい印象がするものだった。だから,筆者の前向きで明るい表現が心に残ったのだと思う。 筆者は,人のために多大な時間を使ってきた。筆者について,僕が調べたところ,世間を大きく揺るがした「地下鉄サリン事件」の時には,聖路加国際病院の院長として,通常業務を全て停止し,犠牲者を受け入れる決断を下した。六百四十人もの苦しむ人々を受け入れ,全力を尽くしたそうだ。これだけの人数を受け入れる事ができたのは,この病院を建てるにあたり,大災害を見越していた筆者が,廊下,待合室の壁面に,酸素配管を約二千本設置し,病院としては考えられない広さのロビーや礼拝堂も設けていたからだ。この設計は,日頃から,多くの命を助けたいという,筆者の強い願いが込められていると感じた。 僕は,この本を読んで,本当に数多くの事を学んだ。例えば,自分の性格は,「意志という自分の強い心」を持ってすれば,自分の望むようなかたちへと変えていけるという事。人生において,最悪の体験だと思っていたものが,実は,将来,役に立つ事があるという事。人生に生かせるレッスンは,日々の生活の中に,いくつも隠されているという事。「笑われてなみだをこぼした体験」は,誰よりも人の気持ちを分かってあげられるためのレッスンなのかもしれない,という事を知った。 今まで僕は,どちらかというと,「自分のため」に生きてきたと思う。だが,この本を読み,少しずつでいいから「人のため」に使う時間を増やして生きていきたいと思う。筆者は,人のために多くの時間を使ってきた「欲ばり」だ。だから,多くの人々の命を救う事ができた。僕も,とびきりの「欲ばり」になれるよう,一瞬一瞬を大切に,色々な事を知り,体験し,学びを深め,その責任を持って生きていけるようになりたいと,今,強く思う。『十歳のきみへ―九十五歳のわたしから―』(日野原 重明・著/冨山インターナショナル)「欲ばり」に生きる神石小学校5年 酒しゅ肆し 大たい輝き平成30年度 神石高原町読書感想文コンクール審査結果【高校生の部】最優秀賞:赤澤 彩乃(油木高3年)優 秀 賞:藤原 好花(油木高2年)  〃  :森山 風音(油木高2年)【一般の部】特 別 賞:成本 孝宏(埼玉県)【黒い雨の部】最優秀賞:高石 尚子(神石高原町)優 秀 賞:横山 遥香(神石高原中3年)  〃  :藤本 泰成(福山市)*敬称略 町では読書への関心を高め,積極的・自主的な読書活動を推進するため,8月を「神石高原町読書月間」と定め,読書感想文を募集し,第10回目を迎える今年度は402点の応募をいただきました。その作品の中から,各部門の最優秀賞・優秀賞・特別賞を選び,12月8日,シルトピアカレッジ図書館で,表彰式と,読書の集いとして読書講演会を開催しました。 読書講演会では,当コンクール審査委員長のふくやま文学館 岩崎文人館長により「井伏鱒二の青春」と題して講演が行われました。井伏鱒二の苦悩と挫折の青春時代や,神石高原町にある文学碑は世界に2つしかない貴重な文学碑であることなどをお話しいただきました。 また,森元学校図書館司書から町内の各学校を巡回しながら子どもたちに伝えていること,本とのかかわりについて,話を聞きました。 受賞者は次の皆さんです。【小学生の部】最優秀賞72019 1月号

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